人事評価基準はどこにある?
査定の時期には様々な企業で様々な議論が飛び交い、もみもみされているものです。
「こんなに頑張っているのになんで部下の査定が下がるんだ!」by管理職
「数字が出てないから給与なんて上げられんよ」by役員陣
すったもんだの嵐です。
何故このようなことが起きるのでしょうか?それは
評価基準が定まってない・または曖昧
だからです。
もしくは
評価基準が間違っている・矛盾している
ということも有り得ます。
前者の場合は具体的にルールを決めればよいだけの事なので割愛しますが、今回は後者に関しての考察です。
1,人事評価の根本は相対的である
会社が従業員に給与を支払う場合、当然売上や利益の中で人件費のキャパシティを決めます。主に基本給の部分ですね。
殆どの場合、給与支払総額は大体予算が決まっているはずです。
もちろん売上や利益には流動性があるのでそのキャパシティは日々変動してしかりですが、わかりづらくなる上、今回の考察には不要な材料なので、変動はしないものとして考えます。
例えば年間給与予算が1000万円の場合、AさんとBさんの査定を行うとします。
Aさんが600万ならBさんは400万です。ふたりとも500万かもしれません。
これがふたりとも600万ならもしかしたら赤字かもしれません。
つまり、決まった枠の中で上手いこと振り分けをしなければいけないという相対性の根本がここには存在しているはずなのです。
完全成果報酬ということであれば絶対評価でも概ね問題ありませんが、通常は過去データから未来を予見して基本給を決めるため、骨が折れるわけです。
2,相対評価のとり方
相対評価=数値化できる基準が必須
言うまでもなく、皆さんご把握のとおりだと思います。
何故ならなんらかの基準を数値化し、比率を算出しないことには相対に落とし込むことは不可能だからです。
小分けにしたものの合計値が100%にならないと、きれいな相対になりません。
昭和生まれの我々には相対評価という感覚は実は身近にあり、小学校や中学校の内申点がそれにあたります(今は絶対評価がほとんどですが)。
生徒が二人の場合、二人に付与できる内申点の合計が10点とします。
10点=100%です。
A君の内申は8点、B君の内申は2点。8点+2点=10点→100%
問題はどうやってこの内申点を決めたかにあります。
ここから少し算数の授業です(笑)
相対的に見ると
8点=80%
2点=20%
ですので、なんらかの別の基準で上記の比率が形成されたことになります。
例えば期末テストの点数。A君が40点だったとしましょう。
このテストの点数がダイレクトに内申に反映されるとしたらB君のテストは何点だったか、パッと計算できますでしょうか。
10点ですね。もう少し頑張って欲しいものです。
それはさておき、なぜ10点になるのかロジックを説明します。
まず前提としてA君+B君=100%にならなければいけません。
つまり、テストの点数の合計点=100%と考えます。
A君の点数が40点=80%という事になりますので、10%あたり5点とあたりがつきます。
B君の内申は2なので相対的には20%です。
A君の点数から10%=5点と決まったので、20%=10点
という具合です。
はからずも、中学校で習った「x=◯◯」みたいな式が活きてきます。
実際の現場ではこんな逆算しませんので、わけわからない方は中学からやり直さなくても大丈夫です。
つまり、何らかの別基準で対象の割合を百分率で算出し、その割合を求めたい軸に当てはめて結果を算出します。
これが基本的な相対評価のとり方です。
基準となる材料が多ければ多いほど、その算定は複雑になります。
3,経営陣が注意すること
何が言いたいかといいますと。
会社を経営するのは利益目的ですから、当然赤字はいけません。
売上はいくらなのか。その先に利益はいくら残っているのか。その中で給与に割ける金額はいくらなのか。
思った以上にこの構造を無視して給与を決めている中小零細企業は多いものです。
Aさんは家族もいるし40歳、これくらいは妥当だろう!と、感覚で決めがちです。
決めた数字がたまたま経営状況において許容範囲であればよいですが、知らぬ間に赤字を垂れ流してしまっていることも多いものです。
「思ったよりも決算利益が残らなかった」とか。
ちょうど企業は算定基礎の時期ですので、今一度賃金状況を見直してみてはいかがでしょうか?