
桃太郎考察 – 最終話
太郎くん、最終話。なにかの間違いでここに飛んできてしまった方は第一話から御覧ください。
犬「日本一の桃太郎さんが、お前たちをせいばいにおいでになったのだぞ。ここを開けろ!」
犬の太鼓持ち発言で騒然とする現場。
鬼「桃太郎と言えば、日本一の強者(こわもの→強い人)だぞ。絶対に中へ入れるな」
意外と共通認識だったみたいです。
鬼たちは一生懸命に、鉄の門を押さえました。
この鉄の門は、さすがの太郎くんでも壊すことが出来ません。
すると先に飛んでいったキジが空から下りてきて、門を押さえている鬼たちの目を突き回りました。
鬼たち「わあ、何だ、このキジは」
ごもっともでございます。何なんだ。
いきなり飛んできて目を突き回すキジです。たまったもんじゃありません。
カラスならまだわかりますが、キジて。
鬼たちが頭を押さえて逃げ出すと、サルがするすると高い鉄の門をよじ登って行き、内側から門を開けました。
割とあっけなく開きました。
鬼たちは太い鉄の棒を振り回しながら桃太郎に襲いかかりますが、キジが空から鬼の目を突き、犬が鬼の向うずねにかみつき、サルが鬼の体に飛び乗って顔を引っかき、桃太郎が自慢の力で鬼を投げ飛ばします。
太郎くん、金棒を振り回す鬼相手にまさかの投げ飛ばし。
お腰につけた刀はどうやら使うまでも無いようです。
こうして桃太郎一行は鬼を次々と倒して、最後に残った鬼の親分を桃太郎が地面に押し倒しました。
すると鬼の親分は、大粒の涙をポロポロこぼしながら言いました。
鬼「桃太郎さん、降参しますから、命だけはお助け下さい。その代わりに、今まで集めた宝物を残らず差し上げますから」
太郎「よし、ならば助けてやろう」
ならばって言ってます、ならばって。
鬼さん、ここで降参して本当に良かった。命拾いした。
えげつないほどの太郎くんのオラオラが露見したところで、鬼の親分は約束通り、お城からたくさんの宝物を持ってきました。
それは、身につけると姿が消える『隠れみの』に『隠れがさ』。
欲しい物を出してくれる『うちでの小づち』と、願いをかなえてくれる『如意宝珠(にょいほうじゅ→願いをかなえてくれる玉)』。
『うちでの小づち』は楽天で880円なので大した宝ではないと推測されます。
こうして、すっかりお買い得アイテムで騙された太郎君は
その宝物を残らず船に積むと、
「もう二度と、悪い事をするでないぞ」
と、鬼たちに言いつけて、日本へと帰って行きました。
日本じゃなかったんですね。鬼ヶ島。
とんでもない距離を犬にこがせたものです。
帰路を考えるだけで吐き気がしていることでしょう。
さて、帰ってきました。太郎くん。
おじいおばあにべた褒めされ、持ち帰った宝物を一つ一つ持ち主のところへ届けてやり(うちでの小槌は所有者不明のため引き取ったみたいです)、鬼ヶ島での鬼退治の話しを世界中に広めたという事です。
自らの経験を引っさげ、自らの足で世界中に話を広めるという太郎くんの地道なブランディング活動の上で、今このお話を僕らは聞けている。
そういう事みたいです。
めでたしめでたし。